開発秘話

【高価格なオフコンばかりの業界】

会計事務所専用オフイスコンピュータ(以下専用機)が登場したのは30年以上前です。そしていつの頃からか税理士・公認会計士が会計事務所を始める為に、専用機は不可欠な存在となりました。家電やワープロが技術の進歩にともない、機能アップしつつも価格が下がる中で、専用機だけは価格を数十年にわたり維持してきました。会計事務所も価格が高いとぼやきながらも選択肢が無い為、買い続けるしかありません。他社の専用機に切り替えようにも各社互換性がないのでデータをいちから入力するということになってしまいます。

【専用機メーカー時代をふりかえって】

今から十数年前、私が専用機メーカーに勤めていた頃、専用機メーカーは他社より良い専用機を作れば売れるといった雰囲気もあり「より使いやすいもの」「ユーザーが求めているもの」を作成する為、ユーザー会などを作り顧客の声を取り入れていました。事務所との関係も良好で、まさに出入りの業者といった感じです。お伺いすると「まあ、お茶でも飲んでいけ」ということで1時間ほど事務所の方と雑談・相談相手になったりしていました。家族的なおつきあいをさせていただいている事務所ですと、夕食までごちそうになったことも何度もあります。

【なぜ専用機メーカーに見切りをつけたのか】

株式公開の準備に入ったころから会社は変わっていきました。「古き良き時代」の終焉です。売上にしても、利益にしても毎年必ずアップしなければなりません。税理士や公認会計士の数が増えてくれるなら結構なのですが、当然都合良くはいきません。必然的に新規の会計事務所への売上よりもユーザー1件1件の単価を上げることになっていきます。以前まで会計事務所にとってベストな機種、ソフトウェアをお勧めするという営業方法が「とにかく高い機種を売る」という形に変わっていきます。当然、営業と会計事務所との関係は冷え込んでいきました。退社したのはそんな頃です。

【会計事務所で「つかえる」パソコンソフトを作りたい】

パソコン上で動作する会計ソフトは数多くありますが、会計事務所で「使える」というレベルのものはほとんどありません。企業が求めている物と会計事務所が求めている物は微妙に異なります。企業は自社だけの処理だけで「決算は税理士にやってもらう」という条件の下に会計ソフトを選択します。このため多くの会計ソフトは事務所のようなニッチな市場よりもずっと多く売れる企業向けに作られています。事務所の場合、最終的に税務・申告ということがメインで、処理も顧客の数だけ存在します。もしメーカーが事務所の事を考え、細分化された消費税区分や高速に入力はできるけれど初心者にはわかりにくいライン入力などにすると売れなくなってしまうわけです。事務所で「使える」パソコン用会計ソフトを作れば必ず売れると確信したのはこの頃です。

【会計事務所専用オフコンが売れるわけ】

パソコンソフトは通常、メーカーから問屋、そして販売店というルートをとってお客様の手に届きます。専用機が会計事務所にとってなぜ使いやすいかというとメーカーと会計事務所が直結しているからです。専用機メーカーの営業は、常に会計事務所の方から「こうなったらいいな」ということを聞いています。営業は会社にそのことを伝えユーザーにフィードバックされます。パソコンソフトの場合、操作担当のオペレーターがユーザーからの質問に答えるだけでなんら情報が伝達されません。「かゆいところに手が届く」専用機が売れるのはこんな理由もあるわけです。

【追いついたつもりが引き離される】

「会計事務所専用オフコンを超える財務会計ソフトをつくりたい」という思いから、専用機を徹底的に研究し、「標準財務会計」というソフトを作り上げました。正直、追い越したというより追いついたというレベルでしたが、専用機の1/10の価格という破格な値段も手伝って飛ぶように売れました。しかしある日、専用機メーカー時代の後輩に会う機会があり、現在販売している機種を見せてもらい愕然としました。私の持っている専用機が少々古かったということもありますし、経理自体がさほど変化したわけではないからソフトの内容は変わっていないだろうという慢心から、実は最新機種をチェックしていませんでした。しかし専用機も進化していたのです。会計事務所にリサーチしてみると「価格を考えるとここまでできれば十分だと思って購入した」とのことでした。それではダメです。最低でも専用機と同じレベルでなければなりません。

【パソコンがオフコンを追い抜いた瞬間】

すぐさま開発設計をやり直します。もちろん最新の専用機を購入し、再度徹底研究を開始しました。「標準財務会計」でも既に他社の最新ソフトは越えていましたがM社やJ社のレベルは「さすが老舗」という完成度。2、3年の間にM社、J社も進化していました。最新の機能を洗い出し「標準財務会計」の最新バージョンの開発を開始。初心に返って会計事務所の方々からもアドバイスをいただきプロトタイプ版を完成させました。しかしこのくらいの差だと専用機にまた追いつかれてしまいます。そこで、さらなる機能追加、入力スピード・基本機能等を向上させ、専用機を超えた財務会計ソフト「標準財務会計2」を完成させたのです。

【会計事務所からの問い合わせが殺到】

「標準財務会計2」は、会計事務所から大絶賛をいただき、事務員20人以上の大型の会計事務所にも数多く導入されました。「標準財務会計2」が「1事務所1ソフト」という事務所内フリーインストールで298,000円という低価格が受けたということもあります。しかしそれだけの理由ではないと思います。「会計事務所が使うに値する」という評価がなされなければ、今までの専用機をやめてまでパソコン会計ソフトを使うという決断は下さないと思います。今だから言えますが会計事務所向けの会計ソフトより企業向けに作った方が、開発も簡単だしたくさん売れるのにと考えたことは一度や二度ではありませんでした。しかし会計事務所の方々から口々に「おたくのソフトすごくいいよ」と聞く度に、やはり方向性を変えないで良かったと思っています。

【進化しない会計事務所】

しかし全ての会計事務所に評価されたわけではありません。やはり専用機が培ってきた30年以上の実績は、設立11年の当社とは「重み」が違います。ソフトの中身というより「歴史」だったり「上場企業」といった部分です。「税理士登録が古い方が優秀で信頼できる税理士である」という考え方と一緒です。また未だに「専用機は信用できるけれど、パソコンは信用できない」という古い考えをしている会計事務所もあり、悔しい思いをしたことは何回もあります。しかしおかげさまで当社は、リベラル層の税理士、公認会計士に支えられてここまでこれたことを感謝しております。

【パソコンソフトの限界を知る】

専用機を大きく引き離した「標準財務会計2」ですが、ここまで来て逆に専用機を超えられない部分が見えてきたのも事実です。専用機を超えられない部分とは「全国の税理士の1%も使っていないような帳票や特殊な機能は追加できない」というジレンマです。専用機なら1台販売すれば数百万円ですから、10台も販売すれば、一部の会計事務所が使わないようなものをつくってもペイするわけです。しかしパソコンソフトの場合、価格面から考えて、最低100本は売らなければなりません。このあたりが専用機の強さであり、パソコンソフトの限界といえるのかもしれません。

【どうして無名のメーカーが会計事務所に支持されたのか】

「標準財務会計シリーズ」は、口コミにより徐々に税理士、公認会計士の方々の支持を受けオフコンも含めた会計事務所会計システムとして国内ユーザーシェア6位(会社四季報未上場版)を頂くまでになりました。またインターネットの経理専門サイトの老舗「おたすけ帳」の実務情報局経理ソフトランキングでは、90会計ソフト中5位(会計事務所専用ソフトとしては1位。ちなみにJDLIBEXは22位)を頂戴しています。ソフトバンク等の流通を通していないということを考えると快挙といえるのではないかと思います。そしてそれに安住することなく、さらなるレベルUPをめざし「標準財務会計3」を誕生させました。aiを搭載、データをメールで送る機能など多くの新機軸を打ち出せたと自負しております。

【会計事務所間戦争を勝ち抜くために】

たとえば、A社では製品を作る工作機械を20万円で購入しています。B社は200万円で購入しています。さて、どちらの会社が発展していくでしょうか。会計事務所も企業です。人件費の次に高い物、それはコンピュータです。専用機を使い続ける会計事務所はキャッシュフロー、経常利益でパソコンを使っている会計事務所より大幅に劣ります。ゆえに今後の生き残りは難しいと言わざるを得ません。税理士法改正、広告規制の緩和など会計事務所を取り巻く環境は厳しいものとなりつつあります。しかし有能な会計事務所にとっては逆にチャンスともいえます。低コストでクオリティを落とさずに会計事務所を経営できる「標準財務会計シリーズ」を導入されることを強くお勧めいたします。